マツダがある広島は、かつて(1880年代)日本一の移民県でした。新たなチャンスを求め、多くの人々が広島から様々な所へ進出していきました。見知らぬ地をゼロから切り開くのは容易ではありません。それでも挑戦しようという精神が、広島の人々に宿っていたのです。今や世界130ヶ国以上で事業を展開するマツダの出発点は、この“開拓者精神”にあったのかもしれません。
近代まで、国内の鉄の半分以上が広島を中心とする地方で生産されていました。「たたら製鉄」と呼ばれた当時の最先端技術を育てた職人たちのこだわりが、広島に“モノづくり文化”を根付かせたのです。この鉄を利用し、「安芸十り(あきじゅうり)」と呼ばれるヤスリ・ハリ等の手工業が栄え、やがて自動車産業を生みました。蓄積された“鉄”技術が、“モノづくり”の基盤となったのです。
1920年1月、マツダは、コルク栓の製造を行う「東洋コルク工業」として広島に誕生しました。その後「東洋工業」に改称(さらに1984年、現在のマツダに社名変更)。3輪トラックの生産を始めたのが1931年のことです。やがて1960年には、マツダで初の乗用車R360クーペを生み出し、総合的な自動車メーカーへと歩み始めました。広島という地で育まれた開拓者精神とモノづくり文化が、マツダの「困難な課題に果敢に挑戦する意欲」と「知識を積み重ね、技を研ぎ澄ます姿勢」を生んだのです。
■(参考)ブランドストーリー
小型・軽量で高出力のロータリーエンジン。その実用化には多くの壁が存在し、ほとんどのメーカーが「不可能」と結論づけました。そんな業界の常識を覆したのがマツダです。エンジニアたちは困難を一つひとつ克服。1967年、世界初の量産型ロータリーエンジン搭載車・コスモスポーツを送り出したのです。以降もサバンナRX-7、アンフィニRX-7、RX-8など、今なお人々に愛される名車を次々に登場させます。2003年には、水素ロータリーエンジン車の実用化にも成功しました。
マツダの「チャージマツダ787B」は、1991年の「ル・マン24時間耐久レース」において、日本車として、またロータリーエンジン搭載車として初の総合優勝を成し遂げました。ル・マンのコース内には、2kmの直線があります。この直線を、最高340kmという、新幹線のぞみに匹敵するスピードで爆走するのです。1周13.6kmのコースを平均速度205km/hで走行。24時間での走行距離は5000kmで、広島~東京間を2往復半したことになります。ル・マン総合優勝という事実は、マツダのロータリーエンジンが持つ技術力とポテンシャルの高さを証明しました。
1989年の発売以来、世界中の人々を魅了して止まない存在。累計生産台数90万台を突破し、「世界で最も多く販売された二人乗りの小型オープンスポーツカー」としてギネス記録を今も更新し続けるクルマ。それがロードスターです。思いのままのドライビングフィールで、走りの爽快感・開放感を存分に味わえる。まさに「人馬一体」が実感できる。そんなロードスターは、「ライトウェイトスポーツカー」という領域を確立したと言えるでしょう。
■(参考)ロードスター物語
子供の頃、「ブーブー!」と声をあげ、風を切って走り回った、あの楽しさ。
ビュンビュンと走っていく車を夢中で見ていた、あのわくわく感。
それは誰もが経験した、飽きることのない快感でした。
“Zoom-Zoom(ズーム ズーム)”とは、英語で「ブーブー!」を意味するコドモ言葉です。
幼い頃に、多くの人が感じる、動くものへの憧れ。
マツダはそのピュアな気持ちを忘れません。
決して妥協することなく、“走る歓び”を追求していく。
誰もがワクワクを味わえるクルマだけを生み出す。
そんな決意のこもったマツダブランドの世界観を表現する言葉が“Zoom-Zoom”なのです。
■(参考)マツダのビジョン
「見て乗りたくなる、乗って楽しくなる、そしてまた乗りたくなる」、
そんな「いつまでも“ワクワク”できるクルマ」を届けたいのが、マツダの思い。
クルマも、人も、地球も、みんながワクワクし続けられる、
サステイナブル(持続可能)な未来の実現に向け
燃費も、走る歓びも、どちらも捨てない。そのためにマツダは、前例や既成概念を一切捨て、クルマの基本に正面から向き合いました。エンジンも、ボディも、シャシーも、トランスミッションも。基本技術をすべて、もう一度ゼロから作り直したのです。そして生まれたのが、革新的技術「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブ テクノロジー)」です。ガソリン車、ディーゼル車、あるいはハイブリッド、電気自動車と、クルマのトレンドは変わります。しかし理想的なベース技術を持つクルマだけが、そのポテンシャルを最大限に引き出せるのです。
■(参考)SKYACTIV TECHNOLOGY
クルマは、単なる鉄の塊ではありません。それは「命あるもの」だとマツダは考えています。今にも動き出しそうな躍動感が、呼吸しているかのような温かみがクルマにあるからこそ、人は愛馬と心を通わせるかのように、クルマとの関係をエモーショナルにしていくことができるのです。クルマに意思と生命の息吹を吹き込む。生きたクルマをつくる。そのための造形を追い求めつづけるのが、マツダの「魂動デザイン」です。
■(参考)魂動 KODO:SOUL of MOTION
マツダはクルマを、ただの「乗り物」だとはとらえていません。マツダが志向するのは「クルマが愛馬のようだったらどんなにいいだろう」ということです。人が馬に思いを伝える。そして馬は人の思いを、言葉ではなく感覚で理解する。お互いの息を合わせることで、まさに人と馬が一体となり、思いのままの走りが実現する。これこそ、マツダの目指すクルマづくりの哲学“人馬一体”の姿です。クルマを動かすその瞬間ごとに溢れる心地よさ、まるで自らの体の一部でもあるかのように、クルマを意のままに操る歓び。いつでも、どこでも、誰もが“笑顔”になれる。何度でも乗りたくなり、乗るたびに深まっていく。そんな究極の楽しさが、そこにはあります。
ドライブにおける安全・安心の追求は、“走る歓び”実現のための大前提です。クルマの周囲に存在する危険を瞬時に知らせ、ドライバーを支援することが、大きな安全・安心につながるのです。運転環境の変化にもタイムリーに対応して状況を的確に伝え、正しい認知・判断を促す。またストレスのないコクピット環境の提供により、ドライバーの運転に対する集中力を引き上げる。これが、マツダの考える安全のベースとなる思想「Mazda Proactive Safety」です。また、万が一のドライバーのミスにも対応できるように、事故被害を防止・軽減する技術を提供しています。
■(参考)MAZDA PROACTIVE SAFETY