年表で辿る百年史
第4章 石油危機下の経営危機 ~ 企業体質の改善
RE車を中心とした商品戦略は、1973年秋の第1次石油危機で大きな転機を迎えます。世界的な原油価格の高騰を受け、高性能で低公害ながら燃費に弱点のあったREは次第に消費者から敬遠されるようになり、北米を中心に販売台数が急降下。在庫の急増で1975年には有史以来の大幅な赤字を計上し、東洋工業は経営面でも企業イメージ面でも大きなダメージを受けました。生産計画の下方修正をはじめ、労務費の削減や資産の売却などあらゆる再建策を講じ、経営陣の刷新や、多くの社員を全国の販売会社に出向させる「AM派遣」も断行します。同時に東洋工業は商品のラインアップを全面的に見直し、従来の技術志向から顧客志向に大きく方向性をシフト。「ファミリアAP」や「ボンゴマルチバン」など、ユーザー視点での新しい価値を提案していきます。一方でREは40%の燃費改善を掲げたフェニックス計画を発動。小型で高出力なREの特徴を生かせる車種に搭載を絞り込み、活路を見出していきました。
1974(昭和49年)
1月
フィリピンで現地組立を開始
2月
2代目「カペラ」を発売
5月
三次ディーゼルエンジン工場が完成
12月
賞与を3分割支給に
1975(昭和50年)
1月
国内販売会社への出向「AM派遣」を開始
タイで現地生産を開始
2月
アメリカでの販売組織を再編して3社体制に
4月
普通乗用車「ロードぺーサーAP」を発売
CIシステムの導入を開始、企業シンボルを採用
10月
燃費を40%改善したロータリーエンジン搭載車を一斉発売
2代目「コスモAP」を発売
1976(昭和51年)
2月
「マツダ希薄燃焼型エンジン」を搭載したS51年排出ガス規制適合車を発売
5月
JAFグランプリでの優勝でサバンナが国内レース通算100勝を達成
1977(昭和52年)
1月
4代目「ファミリアAP」を発売
4月
2代目「プロシード」を発売
5月
2代目「タイタン」を発売、3000ccディーゼルエンジンを新搭載
8月
2代目「ボンゴ・ワイドロー」を発売、超低床・平床のトラック
9月
ロータリーエンジン搭載の「マーチ76S・マツダ」が富士GCシリーズで初優勝
10月
ルーチェシリーズに最高級車「ルーチェレガート」を追加
12月
5代目社長に山崎芳樹が就任
1978(昭和53年)
1月
2代目「ボンゴ・マルチバン」を発売、タイヤハウスの突起がない平床バン
3月
小型スペシャルティカー「サバンナRX-7」を発売
国内販売会社への「SE出向」を開始
10月
3代目「カペラ」を発売
11月
ロータリーエンジン車の生産累計台数が100万台に到達